「なぜ月は満ち欠けするのか?」満月・三日月 様々な姿を見せる月。また月食との違いは?

「なぜ月は満ち欠けするのか?」満月・三日月 様々な姿を見せる月。また月食との違いは?

新月・三日月・半月・満月 日によって異なる姿を見せる月ですが、満ち欠けのプロセスを正確に説明できますか?

日本人は古来から月と共に生きてきました。昔は太陰暦という月の満ち欠けに基づいて一か月を定める暦で日常を送っていた日本人。
今でも中秋の名月にはお月見団子を食べたり、月に帰っていくかぐや姫の童話を子供話してあげたり、身近にある月にまつわる場面で月の満ち欠けの仕組みを子供に聞かれたら正確に説明できますか?

また、意外と説明が難しい「新月」と「月食」の違いもあわせて説明していきます。

結論:太陽の反射で光る月を、地上のどの位置から見ているかの角度で変わる

たまに月の満ち欠けは地球の影によって発生すると勘違いしている方がいらっしゃいますが、それは違います。
月は地球の影ではなく、月自身の影で満ち欠けします。

月は地球同様に太陽からの光を受けています。
地球からはその反射によって月が光って見えるのです。

そして月は地球の周りを27日の周期で公転しています。
それにより地球から見る月の位置によって月の満ち欠けが変わります。

なお、月の満ち欠けの周期は29.5日です。これは月が27日間に地球の周りを公転する最中に地球も太陽の周囲を公転して進んでいるためこのような差が発生します。
仮に月が公転していなくても地球は太陽の周囲を移動するので、地球の衛星である月も地球と共に太陽の周りを移動することになります。それにより月が太陽の光を受ける位置は変わっていきますよね?つまり、月はその分だけ余分に移動しないといけないので満ち欠けの周期は29.5日になるのです。

新月が見える地球の位置は昼間なので見えないのでは?それと、満月の時は地球に隠れて月に光は当たらないのでは?

月の満ち欠けの図を見ると2つの疑問が沸きます。
1つ目は月が新月の時、月が見える地球の位置は太陽が昇っている昼間になってしまうため、夜に新月は見えないのではないか?
という点と、2つ目は満月の時に月と太陽の間には地球がいるため光が届かないのではないか?

この図だと、新月は昼にしか見えないし、満月は地球の影に入って見えないのでは?

新月は昼にしか見えない(というか昼なので見えない)

まず1つ目の疑問「新月は昼にしか見えないのでは?」ですが、これはこの通りで新月は昼にしか見えません。というより、昼に見える位置に月がいるので、強い太陽光が降り注ぐ昼間に月は見えません。
地球から最も近い位置にある天体である月は、条件によって昼間でも見えることがありますが、少なくとも新月が夜に見えることはありません。

日の入りの角度からすると三日月くらいから月は夜でも視界に入るようになります。

満月が見えるのは、月の公転角度が5.14度傾いているから

満月の位置に月があると、地球の影に入り太陽の光を受けることができないように見えます。
月の満ち欠けを端的に示した上のような図だとそう見えるかもしれませんが、実際は月と地球の離れている距離と、月の公転角度は地球と太陽の公転角度より5.14度傾いているため、地球の影に入らず太陽の光を受けることができます。

月の公転軌道は傾いているため、地球をはさんで太陽の反対側にいても太陽光を受けることができます。
実際の距離感に近い図で書くとこんな感じ

では、月食とは?

これまでの説明で月は地球の影に関係なく太陽の光を受けて満ち欠けすることが分かりましたが、月食はどういう状態を言うのでしょうか?
月食は、月と太陽の間に地球が入り、太陽の光を遮ることで生じます。
月の公転角度である5.14度と、太陽の周囲を1年かけて公転する地球との位置関係において一年に二度だけ、太陽と地球と月の位置が同じ角度になるタイミングがあります。
その時に地球が月への太陽の光を遮り、月食が発生します。

しかし太陽と地球と月が同じ角度になっても、地球の影は月を隠し切れず、光を構成する7色のうち波長が長く長い距離を進む赤い光は月に届き、月食の月は赤く光ります。

地球の影に入るが赤い光は月に届き、月を赤く照らす  青い光の地球の大気に散乱し月に届かない

月が満ち欠けする理由まとめ

  • 月が太陽の光を反射し光る
  • 光る月を観測する地球の地点によって満ち欠けしたように見える
  • 新月の位置は夜の地球からは観測できない
  • 月の公転角度は太陽と地球の公転角度から5.14度傾いているため、満月の時にも地球の影に入らない
  • 一方で1年に二回地球の影に入り月食を起こす

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