月は満ち欠けだけでなく見る時によってその大きさや色が変化します。とんでもなく大きく赤く光る不気味な月もあれば高い空に白く明るく光ることもあります。それはなぜ?
月は時期によって大きさが変わります。最も大きく見える満月を「スーパームーン」と呼んだりしますが、その強く明るく光る月の姿はとても魅力的です。
はたまた、日没の地平線の近くに不気味に佇む赤い満月が見えるなんてことも。なぜ月がこのように大きさが変わったり色が変わったり振る舞うのでしょうか?
その要因を徹底解説します。
月の大きさが変わるのは「1.楕円の公転軌道」と「2.目の錯覚」
1.楕円の公転軌道
月の地球の周りを約27.5日の周期で公転しています。
実はその公転軌道は正円でなく楕円を描いています。そのため、地球に最も接近する際の距離は35.6万kmで最も遠ざかる際の距離は40.7万kmと、5万kmも変動します。(地球から月までの距離は約38.4万キロと言われますが、これは平均距離です。)
最も近い時の月は、最も離れている時と比較して直径が約15%大きく見えます。また明るさは30%程強まります。明るくなることでより大きく見えます。
光っている電球と消えている電球を比べると、光っている方が大きく見えますよね。15%大きくかつ30%強く光るため、より大きく見えるのです。
2.目の錯覚
「月の距離の違いだけではピンと来ないくらい大きく見えることがある」と感じる方も多いのではないでしょうか?
特に月が大きく見えた時を思い出していただくと低い位置にあったと思いませんか?上空高い位置に月がある時よりも、位置が低い時の方が大きく見えます。
これは観測位置や実際の月までの距離とは関係なく、低い位置の方が月との大きさを相対的に比較する障害物が多いことから、目の錯覚で大きく見えるのです。これは「月の錯視」と呼ばれています。
ただ、実はなぜ月の錯視が起きるのか、まだ解き明かされきっていないそうです。ただ、距離や角度・観測位置などの物理的な条件で発生する自然現象ではないのです。
赤く見えるのは光が届く波長の違いのせい
月が赤く見える原因は、太陽が朝焼け・夕焼けで赤く見えるのと同じ現象です。
光を構成する虹色の7色はそれぞれ波長が異なり、赤色が最も波長が長く遠い距離まで届きます。
特に月の位置が低い時は、上空にいるときより比べ長く大気の中を通過します。大気の影響を受け波長の短い色の光は散乱し、波長の長い赤色が観測者の目に多く届くことで赤く見えるのです。
上空にいるときも大気中のチリやほこりが多い気象状況の際も光が散乱しやすいので赤い光が多く目に届くことになり赤く見えるのです。
冬の冷たく澄んだ大気では上空の月はキレイに白く輝きます。
地球に月が最も近づいている、満月、晴れ、低い位置(夕方・明け方)、大気の状況などの複数の観測条件を満たすと、赤いスーパームーンが観測できます。
月食の際も月は赤くなる
太陽と地球と月が太陽の軌道上に直列した際に、地球の影に月が隠れる月食。
月食が起きた際も、太陽の光が地球の南北の際(きわ)にある大気に触れ、波長の短い青色などは散乱し、赤色の光だけが月に届きます。それを反射することで赤く見えます。
地球が完全に太陽の光をシャットアウトせず、波長の長い赤い光は月に届くのです。
月が大きく見える理由と赤く見える理由のまとめ
- 月の公転軌道は楕円で、地球に近づくときと遠ざかる時がある
- 近い時は遠い時と比較し15%大きく、30%明るい
- 地平線に近い位置にある時は目の錯覚(月の錯視)で大きく見える
- 低い位置にある際は月の光が大気の影響を強く受け波長の長い赤い光が目の届く
- 高い位置にあっても大気が濁っていると波長の短い光は散乱し、赤い光が目に届く
- 月食の際は地球の大気で波長の短い光が散乱し、赤い光が月を反射して赤く見える
なお、月の満ち欠けに関する仕組みの解説記事もございますので合わせてご覧ください。