「なぜ日食はなぜ起きるのか?」昼なのに太陽が隠れる皆既日食。その仕組みと滅多に出会えないワケとは?

「なぜ日食はなぜ起きるのか?」昼なのに太陽が隠れる皆既日食。その仕組みと滅多に出会えないワケとは?

自然現象界の王者と言っても過言ではない世紀の天体ショーである日食!日食が起きる理由と、なぜ皆既日食は滅多にお目にかかれないのか?その理由を解説

神秘的な魅力から世界中の人々を魅了する自然現象である「日食」。
特に皆既日食が見えることは滅多に無いため、日本で発生する時はとても話題になりますよね。

実は日食自体は年に2回は地球上のどこかで起きており、月食の発生回数よりも多く、そこまで珍しい現象ではありません。

そもそもなぜ日食が起きるのかと、皆既日食が見れるのが稀である理由を解説していきます。

日食が発生する理由:太陽と月と地球が直列になり、月が太陽を隠すことで起きる

地球は太陽の周りを1年かけて公転しています。
月は地球の周りを27.5日かけて公転しています。
この太陽・月・地球の位置が直列に並んだ際に、地球から見て月が太陽を隠すことで日食が発生します。

これだけで考えると27.5日に一回は日食が起きるように思えますが、実際はそうではありません。なぜなら地球と月の公転軌道は、太陽と地球の公転軌道から5.14度傾いているからです。
この2つの軌道が交わる(直列に並ぶ)のは年に2回であるため、日食が起きるのもまた年に2回となります。
年に2回は地球上のどこかで日食を観測することができます。

地球を中心として見た際の月の軌道(白道)と太陽の軌道(黄道)の交差点を示した簡易図
太陽の軌道一年に対して交差するのは二回ということが分かる image via wikipedia

ちなみに、軌道が交わっていない際に太陽側に月がいる時は単なる新月です。
当然ですが日食の時の月は新月となります。

皆既日食が珍しい理由

年に2回日食は起きているため、地球上の観測できる場所へ自ら赴けば見ることができます。
しかしながら、地球より小さい月が太陽を完全に隠す影に入る場所は地球上でも非常に局地的となります。
また、年に二回交差する黄道と白道の交差点にピタリと太陽と月が並ぶとは限りません。そのため部分日食しか発生しないこともあります。
部分日食は比較的広範囲で観測できますが、皆既日食となると影の範囲がピンポイントで、地球の7割は海ですし、陸上でも人間が容易に行くことができない場所も多々あります。
さらに当然ですが、晴れていないと観測できません。

金環日食が発生する理由

月の公転軌道は楕円で、かつ地球の中心でなく月と地球の共通重心(地球の中心から約4,600kmあたり)を中心として公転するため、地球に近づいたり離れたりしています。

太陽と月が並んでも、月が地球から離れていると影を隠し切れずに皆既日食にはならず、太陽の外側だけが環になって光る「金環日食」が発生します。

つまり皆既日食を観測するためには、太陽と月が並んだ時に月が地球に近い距離にある必要があり、さらに人が観測できる場所に影が落ちる必要があるため、なかなか見れないのです。

ちなみに皆既日食の際にも太陽の周囲に白い光が見えます。
これは普段、太陽の光で見えないコロナ(太陽の爆発によって発生する電子やイオンなどのプラズマ)です。

皆既日食。周りの光は太陽コロナ(プラズマ)。

日食・皆既日食が発生する理由まとめ

  • 地球と月と太陽が並ぶ時に発生する
  • 月の公転軌道と地球の公転軌道は5.14度傾いているため、軌道が交差するのは年に2回
  • 軌道が交差した際に月と太陽と地球がほぼ並び日食が発生するが、交差点にピッタリ並んだ場合にだけ皆既日食が起こる
    ズレると部分日食しか起きない
  • ピッタリ並んでも月と地球との距離によっては太陽を隠し切れず金環日食になる(月の軌道は楕円で、公転の中心は地球の中央ではない月と地球の共通重心であるため)

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